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【こころのヒント】不安との付き合い方――完璧な安心を求めすぎないために

こんにちは。Arataカウンセリングルームの矢島です。

前回の「こころのヒント」では、不安や怒り、悲しみなどの感情には、自分を守ったり、大切なことを知らせたりする役割がある、というお話をしました。

今回は、その中でも多くの人が抱え込みやすい「不安」について、もう少し深く考えてみます。

不安は、未来に備えようとする反応です

「不安な気持ちを消したい」
「もっと動じない自分になりたい」
「考えすぎるのをやめたい」

そう思うことはありませんか。

胸がざわついたり、頭の中で悪い想像が止まらなくなったりする時間は、とてもつらいものです。

けれども、不安は決して、こころの不具合ではありません。

不安があるからこそ、私たちは未来の危険を予測し、事前に準備することができます。

  • 失敗しないように確認しよう
  • 明日は雨かもしれないから傘を持っていこう
  • 相手に失礼がないように、少し準備しておこう

このように、不安は自分を守るために働くことがあります。

不安とは、未来に備えるために、こころが鳴らしてくれているアラームのようなものです。

不安が強くなると、完璧な安心を求めてしまう

不安があると、私たちは安心したくなります。

  • 何度も確認する
  • ネットで調べる
  • 誰かに「大丈夫か」と聞く
  • 失敗しそうなことを避ける
  • 何度も頭の中で考える

こうした行動は、一時的には安心につながることがあります。

けれども、不安が強いときには、どれだけ確認しても安心しきれなくなることがあります。

「本当に大丈夫かな」
「まだ見落としがあるかもしれない」
「もっと調べた方がいいのではないか」

未来のことは、誰にも完全には分かりません。

そのため、完璧な安心を求めようとすると、終わりのない確認や考え込みに入りやすくなります。

安心したくて確認しているのに、確認すればするほど別の不安が出てくる。
考えて安心したいのに、考えれば考えるほど苦しくなる。

不安には、そうした悪循環が起こることがあります。

不安をなくそうとしすぎると、動けなくなることもあります

不安が強いとき、私たちはつい「不安がなくなってから動こう」と考えることがあります。

  • 不安が消えたら、外に出よう
  • 自信がついたら、話してみよう
  • 安心できたら、始めよう
  • 失敗しないと分かったら、挑戦しよう

もちろん、無理をしすぎる必要はありません。
強い不安があるときには、休むことや、環境を整えることも大切です。

ただ、不安が完全になくなるのを待っていると、いつまでも動き出せなくなることがあります。

そして、避ける時間が長くなるほど、その出来事はますます怖く感じられるようにもなってしまいます。

不安と付き合ううえで大切なのは、不安をゼロにしてから動くことだけではありません。

不安がありながらも、できる範囲で小さく動いてみることです。

不安は「命令」ではなく「情報」

不安が強いとき、こころは強い言葉で知らせてきます。

「やめた方がいい」
「失敗するかもしれない」
「危ないかもしれない」
「このままだと大変なことになる」

その声は、とても切実に感じられます。

けれども、不安が言っていることは、必ずしもそのまま事実とは限りません。

不安は「絶対に避けなさい」という命令ではなく、
「何かに備えようとしている」という情報として受け取ることができます。

たとえば、

「不安だから、やめた方がいい」

ではなく、

「今、不安を感じている。何に備えようとしているのだろう?」

と見てみる。

あるいは、

「失敗したら終わりだ」

ではなく、

「失敗を避けたいくらい、自分にとって大切なことなのかもしれない」

と考えてみる。

不安を否定するのではなく、少し距離をとって見つめることで、不安に飲み込まれにくくなることがあります。

不安が教えてくれること

不安の奥には、自分にとって大切なものが隠れていることがあります。

仕事で不安になるのは、きちんとやりたい、責任を果たしたいからかもしれません。

人間関係で不安になるのは、相手とのつながりを大切にしたいからかもしれません。

将来が不安になるのは、安心して暮らしたい気持ちがあるからかもしれません。

体調が不安になるのは、自分の身体を大切にしたいからかもしれません。

不安は、ただの邪魔者ではありません。
自分が何を大切にしているのかを知らせてくれることもあります。

だからこそ、不安が出てきたときには、

「この不安は、何を守ろうとしているのだろう?」
「自分は、本当は何を大切にしたいのだろう?」

と問いかけてみることが役に立ちます。

「こうあるべき」よりも、「こうありたい」に目を向ける

不安が強くなると、私たちは「こうあるべき」「こうでなければならない」という考えに引っ張られやすくなります。

「失敗してはいけない」
「ちゃんとしていなければならない」
「不安を感じてはいけない」
「理想通りにできなければ意味がない」

そう考えるほど、今の自分と理想の自分との違いが気になり、不安を取り除くことや、失敗しないようにすることに多くのエネルギーを使うようになります。

もちろん、理想を持つこと自体が悪いわけではありません。

「こうなりたい」
「こうありたい」

という気持ちは、自分にとって大切な方向を教えてくれるものでもあります。

ただ、その理想が「こうあるべき」に変わると、今の自分を責める方向に働きやすくなります。

一方で、「こうありたい」「こうなれるといいな」という視点に立つと、不安を消すことだけが目的ではなくなります。

今の自分を否定するのではなく、今の自分のままで少し近づけることは何だろう。
不安がありながらでも、自分が大切にしたい方向へ小さく動けることは何だろう。

そんなふうに考えることで、不安を排除するためではなく、自分にとって大切なことにエネルギーを使いやすくなります。

不安があることを責めなくても大丈夫です。

不安があるままでも、「こうありたい」に向けて、小さな一歩を選ぶことはできます。

「考えること」と「考え続けてしまうこと」は少し違います

不安があるとき、考えること自体は悪いことではありません。

  • 必要な準備をする
  • 予定を立てる
  • できる対策を考える

これは、不安が助けになる形で働いている状態です。

一方で、同じことを何度も頭の中で考え続けているのに、何も決められない。
考えれば考えるほど苦しくなる。
頭では分かっているのに、安心できない。

そのようなときは、不安が強くなりすぎているのかもしれません。

その場合は、さらに考え続けるよりも、いったん身体を休めたり、誰かと一緒に整理したりすることが役に立つことがあります。

完璧な安心ではなく、「今できること」に目を向ける

不安は、まだ起きていない未来に向かっています。

そのため、未来を完全にコントロールしようとすると、かえって苦しくなってしまいます。

もちろん、準備や確認は大切です。
でも、どれだけ準備しても、未来を100%確実にすることはできません。

だからこそ、次のように「今できること」に目を向けてみることが大切です。

  • 今できる準備は何だろう
  • 今日できることは何だろう
  • 不安があるままでも、少しだけできることは何だろう

完璧な安心を目指すのではなく、

「できる準備はしたから、あとはそのとき考えよう」
「少し不安はあるけれど、まずはここまでやってみよう」

そんなふうに、不確かさを少し抱えながら進むことも、不安との付き合い方の一つです。

不安があっても、一歩を小さくすることはできます

不安が強いとき、大きな一歩を踏み出すのは難しいものです。

だからこそ、無理に大きく自分を変えようとしなくても大丈夫です。

  • 全部やるのではなく、一部だけやってみる
  • 完璧に準備するのではなく、最低限の準備をしてみる
  • 長時間ではなく、短い時間だけ試してみる
  • ひとりで抱えるのではなく、誰かと一緒に考えてみる

不安があるままでも、できることを小さくすることで、少しずつ動きやすくなることがあります。

不安を少し扱いやすくするための小さな問いかけ

頭の中だけで考え続けると、不安がどんどん膨らんでしまうことがあります。

そのようなときは、次のような問いかけが役に立つことがあります。

  • 今、不安に思っていることは何だろう?
  • 実際に起きている事実と、自分の想像していることは何だろう?
  • 今、自分にできる準備は一つあるだろうか?
  • 完璧な安心を求めすぎていないだろうか?
  • 不安がありながらでもできる、小さな行動は何だろう?
  • ひとりで考え続けず、誰かと一緒に整理できないだろうか?

大切なのは、不安を完全になくすことではありません。

不安に飲み込まれすぎず、少しずつ扱いやすくしていくことです。

ひとりで整理するのが難しいときは

不安が大きくなっているときは、視野が狭くなり、身の回りのことがすべて危険に見えてしまうことがあります。

「いくら確認しても安心できない」
「考え続けているのに、答えが出ない」
「不安のあまり、次の行動を起こすのが怖い」

そのようなときは、ひとりで整理するのが難しくなることもあります。

カウンセリングでは、不安を無理に消そうとするのではなく、その不安がどのような場面で強くなるのか、何を知らせようとしているのかを一緒に整理していきます。

何がこころのアラームを強く鳴らしているのか。
今できることは何なのか。
どのくらいの一歩なら踏み出せそうなのか。

不安を責めるのではなく、少しずつ理解し、扱いやすくしていく時間です。

ひとりで整理するのが難しいときは、どうぞ抱え込まず、カウンセリングを頼ってください。